お役立ちコラム
ブレーキキャリパーとは何?固着する原因とその対処法
2021.09.23
車のブレーキにはいくつかの種類がありますが、代表的なものに油圧式ディスクブレーキがあります。
油圧式ディスクブレーキを構成する部品の1つがブレーキキャリパーです。
実際にどのような働きをする部品なのかを解説します。
またブレーキキャリパーの不具合の中でも比較的多い固着に関しても説明します。
ブレーキキャリパーとは何か
油圧式ディスクブレーキが働く仕組みは、大まかには次のようになっています。
ブレーキペダルを踏みこむことでマスターシリンダーという部品内にあるオイルに圧力がかかります。
それによりブレーキキャリパーにあるピストンに圧力がかかり、ブレーキパッドを押し出します。
ブレーキパッドがディスクローターに押しつけられることでタイヤの回転を止めるのです。
ブレーキキャリパーの種類は2つ
ブレーキキャリパーは大きく分けると2種類に分類されます。
ディスクローターの片側のみにブレーキパッドを動かすピストンがあるものと、両側にあるものです。
片側のみにあるものを「フローティングタイプ」といい、両側にあるものを「オポーズドタイプ」といいます。
一般的にはフローティングタイプが使われますが、スポーツカーや大口径のタイヤにはオポーズドタイプが多く採用されています。
固着とはどのような現象か
ブレーキキャリパーに起こる不具合として、固着という現象があります。
長く走行している車に起こるトラブルとして知られていますが、実際にはどのような現象なのでしょうか。
ブレーキパッドを押し出すピストンの不良
ブレーキパッドを押し出すピストンは、ピストンシールと呼ばれるゴムをよじらせることで押し出し、ゴムが元に戻る時にピストンが元の位置に戻ります。
ですがピストンなどにサビや汚れが付着すると、ピストンシールの動きが鈍くなりピストンが押し出されたままの状態が続くことがあります。
この状態が「固着」といわれる現象です。
固着が起こるとどうなるのか
ブレーキキャリパーの固着が起こると、常にブレーキがかかった状態が続くことになります。
走行中に常にブレーキがかかったままになると、ディスクローダーは常に摩擦を受けることになります。
ブレーキ回りが高温になり、ブレーキが効かなくなるフェード現象が起こる危険性も出てきます。
つまり、固着が起こるとブレーキが効かなくなる危険が出てくるのです。
固着が起こる原因
安全な走行ができなくなるブレーキキャリパーの固着が起こる原因には、どのようなことがあるのでしょうか。
ピストン回りのパッキンの劣化</h3>
ブレーキキャリパーにあるピストンには、ピストンシールやダストブーツといったパッキンが使われています。
パッキンはゴム製なので、長く使っていると劣化します。
劣化することでパッキンとピストンの間に隙間が生まれると、そこに水分や空気が入り込み、サビを発生させます。
また汚れも入り込みやすくなります。
整備不良によるもの
ブレーキは安全に走行するために欠かせません。
そのため重要保安部品として規定されているため、通常であれば車検や点検時にチェックし、不具合が出る前に部品の交換などを実施することになっています。
しかし定期的な点検を怠り、整備不良となっていると、固着の原因となることが考えられます。
固着が起こった場合の対処法
ブレーキキャリパーの固着が起こると、常にブレーキが効いているような状態になります。
アクセルを踏んでも速度が上がらない、ディスクローダーが異常に高温になるといった現象が起こった場合、ブレーキキャリパーの固着が原因かもしれません。
このような時はすぐに自動車整備店に相談し、オーバーホールを実施するとよいでしょう。
オーバーホールの内容
ブレーキキャリパーが固着した場合、一般的には劣化してしまったパッキン類の交換や、サビや汚れが付いたピストンを交換することになります。
この作業を実施するためにはブレーキキャリパーを分解します。
またその周囲も合わせて点検していきます。
交換する部品以外はきれいに清掃し、グリスアップやブレーキフルードの塗布などを実施した後、組み上げていきます。
サビや汚れが軽度な場合「ピストンは研磨や清掃だけでよいのでは」と思うかもしれません。
ですがピストン自体はあまり高額な部品ではないため、新品に交換することが多いのです。
DIYでもブレーキキャリパーの修理はできるか
ブレーキキャリパーは構造的にはあまり複雑なものではありません。
整備キットなども販売されているため、DIYで修理できれば安く済ませることが可能です。
ただしブレーキ回りを分解するためにはジャッキアップが必要で、手間もかかります。
車の安全な走行に関わる部分です。
不具合が起こると危険なのでDIYでの修理より専門店でのオーバーホールをおすすめします。
まとめ
ブレーキキャリパーの固着はブレーキの効きが悪くなり、最悪なブレーキペダルを踏んでもブレーキが効かなくなる危険がある現象です。
主な原因はパッキン類の劣化なので、10万キロ走行する前に一度交換しておくとよいでしょう。
また予防を兼ね、定期的にオーバーホールしておくことも大切ですね。