お役立ちコラム
ブレーキ引きずりってどんな状態?気付くためのポイントと対処法
2021.08.05
サイドブレーキをかけたまま車を発進させると、何となく重く感じられます。
ですが、サイドブレーキをかけていないのに、発進時に何となく重く感じられる場合には、ブレーキの引きずりが起こっているのかもしれません。
今回はブレーキの引きずりとは何か、放置するとどうなるのか解説していきたいと思います。
そもそも「ブレーキの引きずり」とは?
ブレーキの引きずりというのは、常に軽くブレーキがかかったままの状態になってしまうことです。
一般的な乗用車の場合、「ディスクブレーキ」といってブレーキペダルを踏むとその力がさまざまな装置を通って伝わります。
最終的に車輪と一緒に回転するディスクローターにブレーキパッドが押し付けられて、車輪の回転を止める仕組みになっています。
ブレーキパッドを押し付けるときには「ブレーキキャリパー」という機構の中にあるピストンが働きます。
このブレーキキャリパー内のピストンが錆びてしまうと、固まってしまいます。
するとブレーキから足を離してもピストンが完全に元に戻ってくれないため、常にブレーキがかかった状態になるのです。
気付かず放置したらどうなるのか
軽くブレーキがかかった状態となる「ブレーキ引きずり」は、気付きにくい症状の1つです。
もし気が付かないまま放置するとどうなるのでしょうか。
燃費が悪くなる
ブレーキが軽くかかった状態で走行するため、普段より多くの燃料を消費してしまいます。
つまり燃費が悪くなるのです。
ブレーキを踏んでいないのに車が止まる
もともと軽くブレーキがかかった状態なので、減速するとブレーキを踏んでいないのに車が止まるようになります。
またAT車だと起こるはずのクリープ現象が起こりません。
発進時には、何となく走り出しに重たさが感じられます。
ホイールに黒い粉塵が付着する
正常な状態でもホイールには黒い粉塵が付着しますが、ブレーキの引きずりが発生すると粉塵の量はさらに増えます。
引きずりが起こっていない車輪に比べると、明らかに付着する粉塵の量が多くなります。
ハンドルが取られるようになる
ブレーキの引きずりが起こっている車輪だけ、ブレーキがかかっている状態で走行することになるため、ハンドルが取られるようになります。
スピードを出すと、一層ハンドルが取られるのを感じます。
走行中に異音がする
ディスクローターにブレーキパッドが押し付けられた状態で走行するため、摩擦音が発生します。
シャリシャリといった異音がします。
ホイールが異常に熱くなる
常に摩擦が起こっている状態なので、ホイールが異常に熱くなります。
雨天時はホイールについた雨水が蒸発(湯気が発生)し、まるで煙が出ているように見えることがあります。
この状態が酷くなると、ホイールから発火する危険性が出てきます。
ブレーキの引きずりに気が付いたときの対処法
ブレーキ引きずりに気が付いたときの対処法について解説します。
発進時に引っかかるように感じたり、クリープ現象が起こらなかったりしたことで、ブレーキ引きずりに気が付いたときには、速やかに車の修理専門店に相談するようにします。
この状態であればピストンの錆びだけで済んでいる可能性が高いです。
ホイールが熱くなっている場合は冷めてから対応を
雨天時の走行中に煙のようなものが発生した場合や、停車したときにホイールが異常に熱いのに気が付いたときには、まずは停車した状態でディスクブレーキを冷やす必要があります。
冷やすといっても、熱を帯びた金属に水をかけてしまうと破損の恐れがあるため、自然に冷めるのを待つしかありません。
ディスクブレーキに触れられるくらい冷めたら、速やかに車の修理専門店に相談しましょう。
ブレーキ引きずりは非常に重大なトラブルの1つ
何となく「発進時に重たい」「燃費が悪いような気がする」といった症状が出ているだけでは、ブレーキの引きずりに気が付きにくいことがあります。
ですが、ブレーキ関連のトラブルですから、放置してはいけません。
ブレーキパッドとディスクローダーがどんどん摩耗すれば、ブレーキの利きが悪くなる危険性もあるのです。
ブレーキ引きずりは非常に重大なトラブルの1つなので、気が付いた段階で速やかに修理する必要があります。
まとめ
ブレーキの引きずりの初期段階で気が付けば、修理費用は1万5千円程度で済む可能性があります。
ですが、放置しピストンが完全に固着してしまうと、スライドピンの交換だけではなく、マウンティングブラケットを丸ごと交換しなければならなくなる可能性が出てきます。
このような修理をすると、費用は3万円を超える可能性があります。
車の走行に異常を感じた場合は、対応を後回しにせず、信頼できる車の修理専門店に相談し修理・交換をしてもらうと安心です。
重大な事故や不具合に発展しないように、日ごろからチェックをしておき「何かいつもと違う」と感じたときには早めに修理専門店に相談しましょう。